COLUMN / ESSAY

童夢 F-110(FIA-F4)が不細工な言い訳

もうすぐFIA-F4の実車が発表となりますが(8/29 鈴鹿サーキット)、仕様や性能については発表をお待ちいただくとして、ここでは、実車をご覧になって「なんと不細工な!」と思われた方に向けて、少々、言い訳をさせていただきたいと思います。

ラグナセカ(行ったことはありませんが)やグッドウッド(行ったことはありませんが)やモントレー(行ったことはありませんが)などに登場するクラシック・レーシングカーは、旧車に興味のない私にその価値は解りませんが、その機能もスタイリングも冒険的であり野心的ですし、作り手の、明らかにカッコ良く見せようという意欲が伝わってきますから、それぞれが作品として鑑賞に値すると思いますし魅力的です。
それでは、30年後のラグナセカに現在のF1やルマンカーが走っているところを想像してみましょう。
今、私たちが見ているLOTUS25や49やFerrari 330PやAlfaromeo Tipo33等と同じくらいのわくわく感を与えてくれるのでしょうか?
いろいろ理由はありますが、本文の主題が不出来なデザインの言い訳ですから、なぜ、童夢F110(FIA-F4)がこれほどカッコ悪いのかを例にとって、現在のレーシングカーをこれほど不細工にしてしまった元凶である無粋なレギュレーションについて説明させていただきたいと思います。

前部も同じように、モノコックと外形線と先端位置などが規定されているためにほとんど自由度は無いし、ラジエターの面積が決まっていてインテークの最小面積も決まっているから必然的に同じ格好になってしまうし、コックピット・テンプレートによって同じ形になってしまうし、カウルはR75以上の曲面でなくてはならないし、エンジンボリュームの後端の左右への張り出しはたまらなく邪魔だし、僅かに残された自由な部分には空力担当者から数値の書き込まれたメモが届き手を付けられなくなるし、試に、この図をプリントアウトしてそれをトレースしながらデザインしてみてください。
とてもイライラが募ってやってられないと思いますが、これらの、すべてがレーシングカーを不細工に見せるためにあるような、欠片もスタイリングについて思いの及んでいないレギュレーションによって、FIA-F4は総じてカッコ悪くなるしかない運命にあるところを、私の才能と努力によって何とか観られる形に収まったと解釈するのが正しいのであって、これをカッコ悪いと断じてしまうのが早計であることをご理解いただければ幸いです。

童夢 F-110(FIA-F4)が不細工な言い訳
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