COLUMN / ESSAY

「それにしてもNにはイラつく」  ―悪口―

私は現在、8機種のNシリーズを持ち、その内の4機種を使用中のNヘビーユーザーだ。N904iをメインに、個人用にN902iを使い、海外用に、GSM使用可能なFOMAのN600iとVodafoneの804Nを使い分けている。
新しいもの好きな私のことだから、今までも、かなりの頻度で新機種に換えているが、見事に、その全ての機種において操作が異なる。特に、文字入力時のいろいろな操作が不必要に変更され、女子高校生並みに早打ちする私としては、ブラインドで打ち込んだ文章を見直すときに大ショックを受ける。
そんなお馬鹿なNでも、唯一と言っていいほど変更されなかった濁点の入力と小文字化のキー操作が、今回のN904iでは*に変更され、従来方法で、「呆れたが」を入力したら、「呆れたか、」と表記されるし、「まったく」と入力したら、「まつく」と表記される。どうにでもなるようなメール呼び出し操作は、キーボタンの⑦から⑧になっているし、従来、最初は大文字で入力されていた英字は、小文字で入力されるようになった。
@や/などの記号入力や、http://の入力キーも変わっている。ユニバーサルデザインとかユーザーズフレンドリーというような概念を一切無視した、これらの暴挙と言うか無神経さは、まさか、N903iからN904iへの変更で、そんな馬鹿げたことはあり得ないと、最低限のNの良識を信じて買いたてのN904iをルマンに持っていった私の予想を根底から覆し、何かの操作を行なう度に膨れ上がるストレスはサルテサーキットのホスピタリティーブースの中で許容範囲を超え、思わずN904iを地面にたたきつけようとしたが、そこは、ちゆつと、いや、ちょっとNよりは良識のある私は、とちさに、いや、とっさに、横にいたレースクィンの大きなバックに投げ込んだので傷はつかなかったが。
しかし、メルセデスのユーザーは、どのメルセデスに乗っても、右手をそっと伸ばしたところにライトスイッチがあることに安心するし、カーナビだって、使い慣れているからこそ同じメーカーのものを買い換える。ユーザーを無視した、あまりに愚かな開発姿勢が信じられないので理由を推測しているうちに、気が付いたら、手持ちの8機種のNを並べて操作の一覧表を作り始めていた。
一覧表を見ていただけは解るように支離滅裂だ。

想像するに、N社内の開発会議において、若い担当者が得意げに「部長、濁点と小文字変換が重複することはほとんど無い訳ですから、一つのキーにやらせたらいいんじゃないでしょうか」、そこで部長が「それはいいアイデアだが、あまり操作が頻繁に変わるとユーザーからクレームがつくからなー」、功名に焦る若い担当者が「それは一時的なことであって、いずれはこの方式がスタンダードになりますから早い目に変更してあげたほうが真のユーザーフレンドリーというものです」とか言いながら思い付きのアイデアを吹聴し、若者の意見を重視する事がイケる上司と誤解している部長が流れに掉さして、結果、常に操作の異なるNが出回る事になる訳だ。それを、世間では独りよがりと言うし手前勝手とも言う。
いつも操作の異なるNを出し続けるということは、いつまでも未完成品を垂れ流し続けていることを意味しているし、Nを買い続けるメリットを自らが否定している訳だから未来は無い。
さて、どの機種に鞍替えしようか。

ページのトップへ戻る