COLUMN / ESSAY

「いっそ見世物にしたら」 ―レース話―

先回のJGTC最終戦よりシケインの通過方法が変更になり、競技車両は130Rを抜けてからのストレートから最終コーナーまで、まっすぐシケインを突っ切ることが出来るようになったようです。
レースでは、テールツーノーズでトップ争いをしていた2車のうち、先行していた#12 GT-Rのほうがシケインを突っ切り、#18 TAKATA童夢NSXが、まともにシケインを通過した結果、シケイン進入直前には、ほぼテールツゥノーズで走行していた#12 GT-Rが、かなり間隔を広げてコースに戻ったため、#18 TAKATA童夢NSXは追い抜くチャンスを逸してしまいました。
いままでも、このようなケースの場合、緊急避難的にコースアウトしてしまったのちコースに復帰することは出来ましたが、復帰には、まともにコース上を進行している車両の走行を妨げないようにしなければなりませんし、また、コースアウトしたことがまともにコース上を走行している車両より有利な状況(近道みたいなケース)を生む場合はペナルティの対象になると考えられていました。
ところが、今回はペナルティとならなかったので抗議をしましたが「意図的ではなかった」という理由で却下されましたし、後日、VTRやデータロガー等の証拠資料を添えてJAFに抗告しましたが却下されました。

このレースでは、レース中のプッシングもノーペナルティとなりました。これはもう、そこらここらでマシンがくるくると回ることになりますから、観客の皆様にはとても面白いショーになるはずですが、なによりコンストラクターにとって、これほど有難いご配慮はありません。昨今の不況続きのご時世に高価なCFRPのボディパーツが飛ぶように消費されるのですから、これはたまりません。
以前、#18 TAKATA童夢NSXが勢いあまって先行車両に追突したときは、きっちりとペナルティを取られましたし、我々も当然の処置と理解していましたので指示に従いましたから、今回も、追突してきた#12 GT-Rにペナルティが課せられるものと思っていましたが、何事も無かったようにレースは終わってしまいました。

もともとが、無理やりにでもいろんな車両を戦わせるプロレスのようなレースといわれてきたJGTCですから、こういう無法化もドッグファイトを盛り上げるための施策なのかも知れませんが、肉体と肉体がぶつかり合うプロレスでも怪我は日常茶飯ですし、まして、車体と車体のぶつかり合いでは怪我どころでは済まないケースも考えられますから、こうなってきたら、見世物として全てシナリオどおりの演技したほうが無用な事故が避けられるという点で、ベターかも知れませんね。童夢は参加しませんが。

林 みのる

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