COLUMN / ESSAY

「TV朝日の皆様ご苦労様でした」 ―ルマン話―

長期にわたり放映を続けてこられたこと、これだけの時間をルマンに割いていただいたこと、親友の由良や舘をゲストに使っていただいたこと、日本のレース界の一員として御社のルマン放映には大変感謝している。しかし、聞けば今年で終了との事、当然、来年以降も参戦を予定している我々にとっては非常に残念ながら、一方で、少しほっとしている。

もう恒例行事となっているが、帰国後、多くの人から「結局、何位だったの?」とか、ひどいのになると「出てたの?」とか聞かれる。
最悪だったのは、家内が大勢の友人を集めてテレビの前で応援してくれていたが、レースも佳境に入ってきたころ家内からルマンに電話があって、「みんなで観ているけどマッチのクルマしか出てこない。走ってるの?」と聞かれた事だが、童夢は、5位を走っていた。
帰国後、VTRを観て驚いた。見事に童夢の存在は消されていた。この完全無視の意図は全く意味不明だが、視聴者が「童夢は出場していたのか?」と疑問を持つ時点で自動車レースの中継としては公平性を欠くし誤った情報を伝えていることになるから、まあ、正直言って御社のルマン放映は、ありがた迷惑だった。
レースの途中、解説を担当していた由良を訪ねて中継の現場スタジオを覗いた時に、「とにかく日本人ドライバーだけを追え!」とがなり立てるプロデューサーの怒声に居たたまれなくなり、そっと後ずさりして帰ってしまったが、民放だから好きにすれば良いとしても、兎にも角にも大変に迷惑な放送内容だった。とにかく、TV朝日様、止めてくれてありがとう。

林 みのる

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