童夢へ
95/331

傷のように見えた︒ スクラップ同然のS500を前に私の妄想は果てしなく拡がり︑スペースフレームにフロント・サスは流用して︑リアはダブルウィッシュボーンに改造し︑カッコイイFRPボディを架装してと︑止■■まるところを知らない︒ 私は取りつかれたように次の日も次の日もスケッチブックを持参して通い続けたが︑ついに4日目にその姿は消えていた︒ スクラップ同然といえども︑当時の17歳の若造にとって︑それを入手することは所■かなわぬ夢であることは百も承知していたが︑スクラップだけあってなんとなく手が届きそうでリアリティがあり︑限りなく想像力をかきたてられる興味の尽きない時間となった︒ まだまだ夢物語の領域からは脱していなかったが︑私はこの17歳のSFでの体験以来︑レーシングカーの製作をかなり現実のものとして捉えるようになったと思っている︒ ち■うど︑ホンダがF1グランプリへの挑戦を発表した直後の︑まだ興奮のさめやらぬ日の出来事だった︒87自動車へ

元のページ  ../index.html#95

このブックを見る