童夢へ
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まった︒ その後は︑鮒子田も私も家の車を持ち出すしかなかったが︑なにしろまだ16︑17歳で無免許だから黙って持ち出すしかない︒ 幸いにも当時はのんびりした時代で取り締まりは厳しくなかったが︑まだまだ運転も未熟な初心者が無免許で深夜の山道をブッ飛ばしているんだから︑確かに危険この上ない無法な行為だった︒ 無法は無法だが︑自動車に対する想いは真■■■■なもので︑山中の広っぱに車幅の5cmほど広く段ボールの箱を積み上げてその間を走り回ったり︑地面に石灰で描いたラインにタイヤをいかに近づけて走るかなどを競ったり︑一定の速度から最短で止まる競争をしたり︑ただただ乗り回すだけではなく︑かなり学究的に修行を積んでいるという雰囲気ではあった︒ まだこういう癖は残っており︑先日︑アストンマーチンDB9 を買った時︑知り合いの女性を乗せて東京から富士スピードウェイまで初乗りをした︒84

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