童夢へ
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﹁自動車へ﹂ 実際の車を持てない時期が続いていたが︑もう頭の中は自動車のことと︑少しK子ちゃんのことしかなかったから︑ひたすら専門誌を読み続けた︒それらの専門誌の中にときどき登場する外国のレーシングカーは︑見ているだけで胸が高鳴るほどカッコ良く︑だんだん描く絵もレーシングカーばかりになってきた︒ そうなると︑あまりレーシングカーの載っていない日本の自動車雑誌には飽き足らなくなってきて︑東京の﹁本流﹂という洋書屋さんの通信販売で洋書を買うようになってきた︒ 何故かその頃はアメリカの方が進んでいると誤解していたのか︑隅々までピッカピッカのホットロッドが気に入っていたのかは忘れたが︑買うのはアメリカの本が多かったような気がする︒ 現在のように通信販売も便利ではなかったから︑お金を送ってから受け取るまで2■月くらいかかるのは当たり前だった︒それが待ち遠しくて待ち遠しくて︑そろそろ着きそうな日には81自動車へ

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