とにかく奥手も奥手︑手も足も出ないのだが︑鮒子田は私よりずっと社交的だったから友達も増えてきて︑その友達グループ内では私の想いは知れ渡ってきていた︒ そのうち︑そのグループの女の子たちの計らいでK子ちゃんとも一緒に遊ぶようになり︑誕生日のお祝いをしたり喫茶店にケーキを食べに行ったり︑グループ交際のような状況が続く中︑彼女は少し時間のかかる郊外に引っ越すことになったが︑引っ越した当初はいつもの連中と頻繁に遊びに行って夜遅くまで騒いでいたものだ︒そのうち︑常連は限られるようになってきたが︑彼女のお母さんがとてもフランクな性格の人だったし︑いつも歓迎してくれたので︑私はそれからも長期にわたって遊びに行っていた︒80
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