﹁高校進学と初恋﹂ 自動車への興味が爆発的に膨れ上がりつつある15歳くらいをどうして過ごしていたのかよく覚えていないが︑この入学式でのK子ちゃんとの出会いは衝撃的だった︒ 中学も共学だったから︑今までも周囲にたくさんの女の子はいたが︑そんな特別な感情を持ったこともなかったし︑もとより︑男女を問わずバイクに関心もない人に興味もなかったのに︑私はこのバイクに対する熱情とは全く異質の感情の芽生えにおおいに戸惑っていた︒ 中学最後の頃︑鮒子田がどこかで紹介された女の子と初めてデートすることになった︒どうしようと相談を受けたが︑未経験者二人がいくら相談しても何も解決しないから︑よく一緒に走っていたバイク仲間の高山和男を呼び出してサジェスチョンを受けることにした︒情けないことに︑和男は2〜3歳年下でまるで子供なんだがはるかに経験豊富で︑﹁鮒子田さん︑正面から顔を近づけると鼻と鼻がぶつかってしまいますからち■っと斜めにして﹂とか︑﹁唇が接78
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