童夢へ
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雑誌も買うようになっていたし︑子供の頃から描き続けている落描きも相変わらず自動車が多かったから︑潜在的には自動車に至る過渡期という意識はあったと思う︒ しかし︑とにかく金を稼がなくてはならない︒なにしろ金がないのでボルト一つ買うのも惜しいから︑バイクを買った店のジ■ンクボックスをあさりに行く︒このドラム缶3個くらいに詰まったジ■ンク箱は私にとっては宝の山で︑バイクの改造に使う小物類はだいたいここから調達していた︒ 日に日に形の変わっていくバイクに乗った少年が︑毎日のようにジ■ンクボックスをあさりに来るのを見ていた社長が︑興味を持っていろいろ話をするようになった頃︑バイトしないか? という話になった︒ 金の亡者になっている割には収入源の全くない私は喜んでやらせてもらうことにしたが︑その仕事は箱詰めでメーカーから送られてくる新車のバイクに︑ステップ︑ハンドル︑バックミラーなどを取り付け︑オイル︑ガソリンを入れてチェーンを調整したりして納品できるようにする︑いわゆる新車整備である︒68

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