で金を使い果たしているから︑どこを探してもバイクを買う金がないのは当たり前なので母にねだるしか手立てがない︒それしかないのだからひたすら頼み込んだ︒それこそ︑朝から晩まで母にまとわりついてねだり続けた︒ 基本的に大反対なのだからそれは徒労のように思えたが︑ひと月ほどした頃︑根負けした母はやっとスポーツカブを買ってくれた︒しかし︑何が何でもバイクがほしい私は︑もし買ってもらえない時のために並行して手持ちのオーディオを処分していたが︑運よく友達に売れたので︑買ったその日から新車を分解し︑かねてより計画していたモトクロッサータイプに改造を始めた︒ 大反対ながら︑気が狂ったようにバイクをねだり続ける私を見て︑これで買い与えなかったら何をしでかすか解らないと︑心配のあまり清水の舞台から飛び降りたつもりで買い与えた真新しいバイクが︑納車の日からバラバラにされるわ︑お金がないと思ったから買ってやったのに︑たちまち︑たくさんの部品を買ってくるわ︑立派な工具類をそろえるわ︑母としては︑﹁そんなお金があるのならば︑購入の足しにするのが当たり前でし■!﹂と︑まるでだまされたか裏切られたような気持ちになったんだろうが︑ものすごく怒りだして︑それからこづかいもく66
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