童夢へ
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単に出せる機能は感動的だったし︑メーターの動きさえ﹁計器﹂という感じでカッコ良かった︒エンジンの振動や排気音は自分のためだけに力を発揮してくれるアラジンのランプの精みたいで力強かったし︑そのすべてを支配している自分の存在が大きく感じられたものだ︒ まるで︑テレビのチ■ンネルを急に変えて︑突然まったく別のドラマが始まったような感覚だった︒  たぶん︑その時に悪魔がそこにいたら︑バイクを手に入れるためならば魂の一つや二つは捨てただろう︒何しろ︑オーディオ65コペルニクス的転回バイクとの出会い奇跡的な写真だ。たぶん鮒子田が撮影したのだろうが、生まれて初めてバイクに乗った瞬間の写真で、まさに、私の心の中でメインスイッチが切り替わっている真っ最中だ。自宅前の道路にて。

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