﹁コペルニクス的転回﹂ こうして中2までの2年間くらいはオーディオに熱中していた︒当時は二人とも機動力はちゃりんこだったが︑なにしろお金がないのでアンプの部品なんかも必要最小限しか買わない︒ だから製作中に足りないものが頻繁に出てきて︑そのたびに抵抗一個とかコンデンサー一個とかを買いに行くことになるが︑これがとてもかったるい︒まだ若かったから労力はいとわないが︑なにしろ時間がもったいない︒ 14歳になったある日︑﹁買い物に便利だぞ﹂と言って︑鮒子田が家のスーパーカブを持ち出してきた︒当時は14歳から原付に乗れたし︑許可証は試験もなく申請すれば誰でも貰えたと思う︒﹁へえーっ︑ち■っと乗せて﹂と私も乗ってみたが︑大げさでなくその瞬間にあれだけ熱中していたオーディオのことはすっぱり忘れ去り︑バイクの魅力に取りつかれてしまった︒ 軽くスロットルをひねるだけで自転車とは比較にならないほどの加速とスピードがいとも簡64
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