たなく︑一旦︑バラバラにしてから穴あけや内部の加工を施し部屋に持ち込んでから再組み立てをした︒ この棺桶を6個使って作り上げたエンクロージ■ーからはさすがに素晴らしい音が出た︒といっても︑私のオーディオ作りの興味は機械作りが原点であり音楽に興味があるわけではない︒だから︑透明な空気感の音場に贅肉のない音像が浮かぶとか︑軽やかで抜けが良くスピーカーの存在を忘れさせるような感じなどという表現は全く解らず︑周波数レコードをかけては︑下は何サイクルまで聞こえた︑上は何サイクルまで聞こえたといっては喜んでいただけで︑母はいつも︑﹁一日中︑ピーピーブーブーうるさい!﹂と怒っていたものだ︒ もっとも︑父のふにゃふにゃ音声に続いて息子のピーピーブーブーを聞かされ続けては怒るのも当然だが︒ しかしここでまた事件が勃発した︒このスピーカーシステムのあまりの重さに階下の父の書斎の庭に向けたガラス戸が開かなくなり︑激怒した父がスピーカーシステムの廃棄を命令してきた︒62
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