ディオを構築していくことになるが︑私の興味はアンプよりも︑どちらかというと機械的作動部分の多いターンテーブルとかトーンアームとかテープレコーダーの製作が中心となっていった︒ おっちゃん家入り浸り状態は2年くらい続いたと思うが︑ある日突然︑悲しい別れの日がやってきた︒唐突に︑﹁結婚することになった﹂と聞かされたのだが︑おっちゃんは当時の私から見ればかなりの老人で︑もう枯れた隠居生活を送っているくらいに思っていたのでち■っとショックを受けたが︑おっちゃんはえらく嬉しそうだった︒ 当初は︑おっちゃんが結婚しても何も状況は変わらないだろうと楽観視していたが︑少しして女性がその6畳一間にやってくると私の存在は超浮いてしまうし︑大体︑物理的にも居場所がない︒何よりも︑おっちゃんが私の存在を疎ましく思うようになってきたようで︑この女性に入れ替わる形で私とは疎遠になっていった︒ 生活の中心になっていたおっちゃん家通いが無くなると︑急にぽっかりと穴のあいたような57極貧地獄へようこそ
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