童夢へ
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 小学生の時︑畳一枚くらいの大作でかなりの賞を獲得したはずなんだけれど︑その作品のかけらも写真も残っていないし︑もらったはずの表彰状もない︒ 幼少の頃から絵は描き続けていたはずだから︑その数は膨大なものになると思われるのに︑寺町の家︵生家︶を潰す時に家■■■探しをしても何も出てこなかった︒ まあ︑通知簿はとても保存する気にもならない内容だったことは解るが︑とにかく︑何も残っていない家だ︒ 子供の時代はさておき︑高校生時代は︑毎日︑朝から晩まで自動車の絵ばっかり描いていたはずだし︑買いためていた自動車雑誌なども私は捨てた覚えはないのにすべて消滅していた︒基本的に我が家の家風として物持ちの良い方ではなかったが︑さすがにこの徹底ぶりには作為を感じずにはいられず︑たぶん︑自動車に熱中するあまり全く勉強をしない私に腹を立てた母がヒステリックに処分してしまったのではないかと疑っているが︑やぶ蛇を恐れ︑直接︑母に聞くことはなかった︒ とにかく︑運動会とか遠足とかの団体行動が嫌いというか恥ずかしいという感覚で避けられ42

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