﹁少年時代﹂ 物心ついた頃から他人と同じことができなかった︒幼稚園での事件の原因も根は同じなんだろうが︑本質的に︑他人と同じことを同じようにすることに強い嫌悪感を持っているようで︑それは自分に対してだけではなく︑他人と同じことを続けることに疑問を持たない人たちにも向けられる︒少年時代は何となくそういう気分だったという程度だが︑高校生になった頃からこういう思想は顕著になってきて︑﹁死ぬために生まれてくるような人生は虫と一緒だ﹂などとほざいていたし︑﹁他人が努力して発明した電気や自動車を充分に利用しながらも︑自分の生活の安定だけを目指しているような人間はクズだ﹂などと若気の至りの発言を繰り返していたものだ︒ しかし︑少年時代はそんなことを真剣に考えていたわけでもないし︑人目には単に協調性に欠けると評価されるだけの話だったから︑特に取り立てて問題とはならなかった︒それより︑40
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