童夢へ
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態でそこに倒れ込んでしまった︒ とにかく痛くって動くこともできない︒みじろぎもできずに倒れ込んでいると少し風が強くなってきて︑時々︑カイトが浮き上がりそうになる︒そうなると飛び上がるほど肘が痛くって︑﹁痛いっ!﹂と叫ぶとまた痛い︒ 1時間ほどそこで倒れ込んでいただろうか︒誰も見つけてくれないし少し痛みも収まってきたので︑やっとハーネスをはずして元の場所に向かった︒近くまで行って呼びかけたらやっと気づいてくれたが︑﹁どこ行ってたん?﹂とあっさりとしたものだ︒ そのうち︑かなり痛みも引いてきたので自分で運転して帰途についたが︑途中から腕がバンバンに腫れてきて服が張りつめてうっ血してきた︒急激に痛みも増してきたのでハサミで服を切り裂いたが︑あらわれた肘まわりは小さなメロンくらいに腫れている︒やっと驚いた仲間に連れられて沼津の病院に行ったら複雑骨折と診断されて一晩泊まることになった︒ 私はこれを﹁航空機事故による外傷﹂と称しているが︑一般には﹁転んで怪我した﹂と言われている︒314

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