童夢へ
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今まで苦労してきた我々も驚いたが︑飛んだ本人はもっと驚いたようで︑あっという間にいつもの着陸地点とその向こうのドライブウェイを飛び越して水平を保ったまま太平洋に向かって飛び出して行ってしまった︒ パイロットの絶叫も瞬く間に小さくなり機体も駿河湾の夕日の中に溶け込んでいく︒なんて見とれている場合ではなく︑まさか太平洋にまでは行きつかないだろうがどこまで飛んでいくのか予測もつかない︒携帯電話もない時代︑パイロットのグループと手分けして探しに行くことにしたが︑途中の経緯は忘れたものの︑最終的には三島近辺の畑に放置されていた機体を回収して一件落着となった︒ しかし︑この事件はあっという間にハングライダー仲間に拡がり︑発売開始前にもかかわらずいろいろな問い合わせが入ってくるようになった︒ それまで全く知らない世界だったが︑意外と広い潜在需要みたいなものを感じた私は本格的に販売に取り組むことにした︒312

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