﹁林 宇多子という母親﹂■■■■■ 母の印象は︑とにかく真面目で堅実で常識的な女性で︑いつも︑何で父を伴侶に選んだんだろうと不思議に思っていたくらいだ︒母の一生において︑唯一︑父との結婚だけが常軌を逸した異常行動だったと思えるほど︑誠実で生真面目な性格だった︒ だから普通に教育ママだった︒とにかく勉強勉強とうるさく︑小学生の頃の思い出といえば︑竹製の鯨■尺でぶたれながら︑宿題にしろ習字にしろ︑ちゃんとできるまで机に座らされていたことだ︒ しかし私というと︑とにかく模型作りと関連の雑誌を読みあさることに夢中で勉強には全く身が入らず︑夜も放っておけばいつまでも起きているので︑時々︑母が見回りにやって来る︒見つかると雑誌を取り上げられるので︑私は布団の中に︑ファン付き換気ダクトと豆電球で作ったスポットライトを持ち込んで隠れ読みしているから︑一日3時間くらいしか寝ない︒ これで保■つわけはなく︑1■月に一度くらい絶対に起きられない日があり︑そんな日はトイ24
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