多分︑横から見ていてその余りに初歩的な過ちには気がついていたのだと思うが︑体を支えるハーネスを接続する部分の部品の取り付け位置を変更して︑静止状態でカイトの重心のバランスを調整してから︑﹁じゃ︑行きます﹂と2〜3歩踏み出した途端に︑今まであれほど頑に地面から離れようとしなかったULTRALITE PRODUCTSの華麗な機体は︑まるで気球に吊り下げられてでもいるかのようにふわっと地面を離れて飛び立って行った︒311十国峠のフライトエリアまさに落ちると飛ぶとの違いだ。この後、アメリカから来たパイロットたちは山道のガードレールの上からでも平気でテイクオフするわ、ハワイの断崖絶壁からでも飛び出すわ、今までの試行錯誤はなんだったんだというほど簡単に飛ぶようになった。 それはあっけないほど一瞬の出来事で︑従来の国産機ハングライダーULTRALITE PRODUCTSMINORU HAYASHI
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