﹁泳ぎ器とホッピング﹂ 結婚もしたし何かちゃんとした仕事をしないといけないと思いつつも︑なかなか次への展開も考えがまとまらず︑ついつい遊び呆ける毎日が続いていた︒ 工業デザインの仕事は忘れた頃にポロッポロッと飛び込んできて放蕩三昧の私のペースにはぴったりだったが︑これを生涯の仕事にしようというイメージは全くなかった︒ とりとめもなく怠惰な日々が流れて行ったが︑今から思えばだが︑私の遊びに関する基盤を築いた日々であり︑これはこれで私の生き方のベースを形成したそれなりに価値ある時間だったと思っている︒まあ︑一方では生涯を通じて莫大な時間とお金の浪費を伴うリスクを背負ってしまったともいえるが︑かといって︑ストイックに仕事に専念する人生を送れたかというとそれも想像できないから︑私の人生としては筋書き通りだったという感じだ︒ そんな遊び呆けている毎日でも︑もともと何でも作ることが好きだから思いついたら作らず304
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