次の日は︑もう食事時から恋人ムードで楽しく過ごし︑食後は真珠湾の方までドライブしながら︑どちらから誘うともなくサトウキビ畑を抜けた海の見える崖っぷちに車を停めて肩を寄せ合うような雰囲気になった途端︑暗闇から人影が飛び出してきてカービン銃の銃口が車の窓を叩くではないか! 月明かりにうごめく人影と鈍く光る銃口しか見えない︒心臓が喉元まで飛び出してきたと思えるほどびっくりしたが︑全く理解できない早口の英語を聞いていた彼女の説明によると︑どうやら基地内だから出て行けと言っているようで兵隊だった︒安心した彼女が話を聞くと︑ここにはよく迷い込んでくるカップルがいるから見張っているとのこと︒親切に近くのデートスポットを紹介してくれたが︑余りの驚きに妖しい雰囲気も吹っ飛び︑町に帰って飲み直すことになった︒ ホテルに帰ったら︑また間髪を入れずに電話がかかってきた︒どうやらずっと電話をかけ続けていたようだ︒﹁どうだった?どうした?どうなった?﹂は昨日と一緒だったけれど︑最後には︑また唐突に﹁僕は彼女と結婚するんだ﹂と叫びだし︑紹介したものの思わぬ展開に焦りだしたのか︑■■■った見方をすれば︑彼女の陽動作戦に乗せられてその気になってきたのか︑そ299ネコママ
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