童夢へ
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メリカ事情を聞いたりしていたら︑ネコちゃんが﹁僕のガールフレンドがハワイにいるから︑全部︑面倒みさせるよ﹂とまた大きなことを言い出した︒ 半信半疑で投宿するホテルのロビーで待っていたら︑真っ赤なオープンのダッジがエントランスに到着︒ホットパンツから思いっきり長い脚を放り出した美女がさっそうと歩み寄ってきて﹁林さんですか?﹂と声をかけてきた︒ 彼女の運転でいろいろなところを案内してもらったり︑食事に行ったり︑ホノルルの山道に走り屋が集まると聞いて観に行ったりしているうちに︑とても彼女とは打ち解けてきて︑夜が更けても名残惜しい感じでどちらも帰ろうと言い出さず︑ずいぶんと遅くまでデートを楽しんでいた︒ 明け方になってやっと部屋に戻ると︑ネコちゃんから間髪を入れずに電話がかかってきて︑﹁どうだった?どうした?どうなった?﹂ととてもうるさい︒ 私はいかに楽しい一日を過ごせたかを克明に説明してお礼を言ったが︑﹁明日は?﹂と聞くから︑﹁もちろん会うよ﹂と答えると︑唐突に︑﹁言っとくけれど︑僕が真剣に付き合おうと思っている彼女だからね﹂などと言い出し怪しい︒298

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