童夢へ
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でなければ続かないのは明らかだったから何をするのかが難しい︒レーシングカー以外で興味のあることといえばスタイリング・デザインだったし︑それまでもいろいろ頼まれた仕事もしていたので︑とりあえず工業デザイン事務所としてスタートすることにした︒というよりそれしか思いつかなかった︒ しかし︑その頃は仕事が極端に早く︑依頼の内容を聞いているうちにアイデアが決まっているという感じで仕事に要する時間がとても短いから︑ち■っと仕事をしてお金が入ったらなくなるまで遊ぶという放蕩三昧を繰り返していた︒ そんな時︑真理ちゃんが﹁暇だからバイトしてあげるわ﹂とやってきて︑勝手に日給を決めて通ってくるようになった︒それまでは社員もいなかったから︑昼間も出歩いて遊んでいるか暇な友達を呼んではマージ■ンをしているかの毎日だったのに︑真理ちゃんと毎日会えるのは嬉しいものの︑真理ちゃんの手前︑仕事をしているような素振りを続けるのがとても辛かった︒すぐに我慢の限界となり︑だんだん本性を現すようになってきて︑瞬く間に真理ちゃんがきているにもかかわらず昼間からマージ■ンをするような自堕落な日常に戻ってしまった︒ 夜は夜で︑気楽な友達ばかりを優先的に入居させていたので︑その連中が夜な夜な私の部屋290

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