わなくてはならない雰囲気というかプレッシ■ーが満ち満ちてきて︑ついに13年目にして﹁良かったらちゃんと付き合わないか﹂と言ってしまった︒ ほんのこの間までは︑私がこんなことをいっても100%NOと言われるだろうと思っていたのに︑なんとなく今日は80%OK的な気配もあったから自信を持って言えたということもあるし︑言わなければならない雰囲気も満ち満ちていた︒ 囁くような﹁はい﹂という彼女の声が聞こえたのも予定調和のように違和感もなく︑13年目の成果というには盛り上がりに欠けるスムーズな展開が却って意外な感じだったが︑今までまともに手も握ったことのない憧れのK子ちゃんが私の彼女となったという喜びも現実だったし︑思わず︑道端に車を停めて彼女を抱きしめて軽く唇を合わせた︒ るんるん気分で彼女の家に戻って報告したら︑お母さんは驚きもせず﹁もう大人なんだから︑ちゃんと付き合いなさいよ﹂とだけ言って自分の部屋に戻ってしまった︒残った二人は︑余りに友達期間が長すぎたためになんとなく間がもたないというか気恥ずかしいというか︑夜も更けていたので少し話しただけで帰ってしまった︒286
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