﹁初恋の終わり﹂ K子ちゃんとは相変わらずのペースで顔は合わせていた︒といっても私が一方的に彼女の家を訪れることがほとんどだが︑K子ちゃんのお母さんは本当に気さくな人で私のことも歓迎してくれていたからいつも気軽に訪れることができた︒ K子ちゃんが不在の時なんかは︑お母さんと二人でお茶を飲みながら話し込んで﹁あんたはK子をどうしたいの?﹂と聞かれたりもしていた︒ もっとも︑ずっと一定の距離を保ちながらも友達として親しく付き合ってきたわけだし︑基本的に彼女への片思いは周知の事実だったから︑出会ってから13年にもなろうかというのに何の結論も出ていない現状はいかにも中途半端でおかしい状況だった︒ 私がK子ちゃんを好きだったのは事実だが︑私は今まで終始︑将来はホームレス確実だと思い込んでいたから︑愛していると思えば思うほど彼女の将来の幸せも保証できない自分には何を言う権利もないと思っていたし︑そんな自分が彼女の周りをうろついていること自体が未283初恋の終わり
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