きまとっているようだが︒ 多くのコンストラクターが覇権を競っていたFJのレースでは厳しい戦いが繰り広げられていた︒将一は︑自社のユーザーを勝たせるために︑先頭を行くライバル車が1コーナーを曲がりかけた内側に突っ込みリタイアさせたり乱暴狼藉を繰り返していたが︑そのうち︑自身が足にけがを負い少し障害を残してしまったほどホットな世界だった︒ そんなFJの世界に興味があったのも確かだが︑何よりも︑くさびの時の借金地獄が身に染みていたので︑もうレーシングカー作りとは決別しなければならない現実を受け入れながら︑最後の未練を断ち切るために︑借金の残らない範囲で開発できるFJを選んだようなものだった︒ 本来ならば︑FRPの工場で︑少しばかりの利益を上げつつあるのだから︑もう少し資金を貯めてからスタートするなり︑業態は残したまま別途にレーシングカーを開発することを考えるなりすれば良いものを︑思い立ったら︑レーシングカーを開発するのに最善の方法しか考273PANIC
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