童夢へ
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 最近でこそ︑入社試験をしたり︑応募者から﹁給与は?﹂とか﹁休みは?﹂とかの質問が出たり︑なんだか普通の会社や仕事のような雰囲気も出てきたが︑未だに︑面白くない仕事には見向きもしなかったり︑利益のすべてをルマンにつぎ込んだりと︑全く企業や事業としての体をなしていない現実を︑給与は? 休みは? と聞きながら入社してきた社員たちがどのように受け止めているのかは知らない︒いずれにしても︑タダでもいいから使ってほしいというような人種も絶滅してしまったことは確かだ︒ くさびでできた借金は今までになく高額で︑慶治に売却した後にも1000万円以上の借金が残ってしまった︒40年弱前︑24歳の時の借金だから当時の私にとっては途方もない金額だった︒ しばらく東京方面で頑張っていたから中古外車のビジネスからは遠ざかっていたし︑その私のいない間にNは私の在庫車と共に消えてしまっていたから︑なすすべもなく途方に暮れていた︒ 携帯電話のない時代だったし︑だいたい家庭の電話は居間にひとつと決まっていたから︑支268

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