来上がったEVA TYPE3というFJは非常に未来的で魅力的なデザインで会場の注目を一身に浴び︑華々しいデビューを飾った︒ 私自身もそうだったが︑レーシングカーを開発するという行為はイコールお金を作るという行為であり︑しかも当時は︑一人でこれらを同時並行に進行しなければならなかった︒極限まで切り詰めた予算の半分も目■■処が立たないのに︑はやる気持ちを抑えきれずにスタートしてたちまち資金不足に陥り︑時間もないのに金策に走り回って状況をますます悪化させるという愚かな悪循環の繰り返しで︑ち■っとは学習しろよと自分に言い聞かせたくもなるが︑だからといって︑もともと資産もなく収入のあても皆無のレーシングカー作りにおいて︑すべての資金の準備を整えて生活費も保証された状態で︑さあレーシングカー作りを始めまし■うなんて桃源郷のような環境は見果てぬ夢のような時代だった︒ みんな︑自分をすり減らして削り取ってしか夢をかなえられない時代だったから︑その後のMの足跡をすべて否定するものではないし︑自分も同じ穴のむじなだとは思っているが︑Mと私の違うところは︑信用とモラルと正義感に対する考え方の差だ︒もしMが大金持ちの息子で何も金策を画策しなくてもよい立場にいたとしたら︑かなりの確率でレーシングカー・デ258
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