童夢へ
263/331

が完成する︒お気づきのようにマスターモデルの製作と面出し作業をすべて省略した超合理的な製法だった︒ スムーズに仕上がったので︑しばらくテカテカのメス型を眺めて悦に入っていたが︑その日は早目に引き上げることにした︒ 翌日︑工場に行くと︑このテカテカのメス型の内側にねずみ色のサフェーサーがたっぷりと塗られている︒このサフェーサーは面出しを容易にするためにマスターモデル全体に塗装してから磨き上げるためのものだが︑実にこの工程を避けるためにアクリル表面の平滑性を利用するデザインを考えたのに元の木阿弥だ︒ 鴻池は習慣的に塗装してしまったようだが︑いくら怒っても後の祭りだ︒泣く泣く大嫌いな面出しに精を出すことになった︒ 本当はシ■シーも作りたかったが︑今回はクライアントのある仕事なのでわがままは言えない︒しかし︑LE GRANDは敬愛するピート・ブロックも使ったシ■シーだから興味津々255くさび

元のページ  ../index.html#263

このブックを見る