と気に食わないたちで︑簡単に言うと面倒くさい︒ だから︑この先に製作するPANICのボディも簡単製法に徹したボディデザインとなっている︒手間ひま費用をかけられないという苦肉の策でもあったが︑私は特に︑このような開発部分での工夫や仕掛けを考えることに興味が強かった︒ 緻密に計算された形に沿ってアクリル板をカットし︑木型屋で作ってもらったアクリル板を直角に接続するサッシュでつなぎ︑つなぎ目の小さな段差だけを仕上げればアクリル表面ピカピカのメス型の完成だ︒この内側にFRPを張り込めばボディ254MINORU HAYASHIくさびのボディ製作法マスターモデルの製作、一次メス型、二次マスターのすべての工程をはっしょった究極の手抜き工法だ。自ずからデザインには大幅な制約を受けるので現在の複雑な空力処理には対処できないが、この時は、この作り方をしたかったのでくさび型を選んだというほど自由闊達な時代だった。
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