童夢へ
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空■いている夜中をぶっ飛ばして大井松田あたりにたどりついた時に︑前方の路面が妙にきらきら光っており︑その向こうの方に広がる白や赤のライトが反射して幻想的な光景が展開されていた︒幻想的はいいが異常事態が勃発していることには間違いがない︒とりあえずスピードは出ているので減速を始めたら停まらない︒ そこは東名高速の陸橋の上で︑そこだけがアイスバーンになっていたのだ︒前方の光の集まりはスピンした車がぶつかり合って︑てんでの方向に停まっているようだ︒ ち■っとブレーキを踏むだけで横を向くような危険な状態だが︑私はからくも衝突を免れて直前で停止させた︒しかし︑後続車がどんどん突っ込んでくるから車に乗ったままでは危ないので︑私はあわてて飛び出し︑ひらりとガードレールを飛び越えたところに後続車が数台突っ込んできて︑コンテッサはみるみるボコボコになっていった︒ 目の前で悲惨な光景が展開していたが︑足もとも滑って心もとないので下を見てぞっとした︒ガードレールの外には少しばかりの平坦部分があり私はそこに立っていたのだが︑その後ろには何の柵もないまま千尋の谷底が口をあけている︒つまり︑ひらりとガードレールを飛び越え過ぎたらそのまま数百メートルの谷底に直行していただろうし︑氷に足を滑らせていても結果234

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