童夢へ
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 なにしろ名誉を懸けた勝負中である︒限界のブレーキング中の左右の間違いは大変に辛い︒ 車はドリフトというよりはスピンに近い状態まで横を向きながらも絶妙なアクセルコントロールとハンドリングで無事コーナーを脱出したが車線内には収めきれず︑対向車がいたら危険な状態だった︒Mの兄は︑自分のミスのお詫びのつもりか本当に勝てないと思ったのかは知らないが︑﹁参りました﹂と負けを認め︑これを契機にお互いに親密さを増したようで︑M家での生活もかなり居心地が良くなっていた︒ 東京でもいろいろ走り屋なりの勝負事は後を絶たなかったが︑バイパスで横浜に行って戻ってくるのがどちらが速いとか言われても︑ほとんど直線の高速道路で何を勝負するんだというようなことも多く︑関西系とはかなり異質な世界だった︒231EVA CARS

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