ドトップは大好評で製作が追い付かないんですよ﹂などとほざく︒いくつの製品を抜いたのか︑型は縦横にヒビが走りむりやり離型を繰り返したために縁がぼろぼろに欠けている︒変形も進んでいるから︑ち■っと見には何の型なのか解らないくらいに崩壊していた︒ かなりの数を製作販売し利益を得ていたようだ︒ Mは立教大学の学生たちで結成したレーシングチーム﹁ロッドベンダース﹂の一員だったが︑彼らは︑当時はやりのIVYファッションで決めて細い傘を持ち歩いているようなおしゃれな青年たちだった︒お金持ちの子息が多いのか︑みんなそこそこの車を乗り回していたし︑もうS600をレースに使っているメンバーも何人かいた︒ FRPの粉にまみれ徹夜の連続で疲れ果て︑お金もないから着たきりすずめの私から見ると︑彼らのライフスタイルはとてもカッコよく見えて︑かなり憧れていたのか羨ましかったのか︑今となっては理由は解らないが︑大切なハードトップの型を台無しにされたにもかかわらず︑その場は穏便に済ませたうえ︑より親密な付き合いが始まってしまった︒ それから長く深い付き合いが始まるわけだが︑おかげで︑楽しいこともいっぱいあったけれ199天才&詐欺師のMとの出会い
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