童夢へ
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﹁天才&詐欺師のMとの出会い﹂ 第3回日本グランプリのだいぶ前に︑私はKSCCのドライバーに頼まれてS600のオリジナル・ハードトップの超軽量モデルを製作してあげたが︑それからもいろいろな人に頼まれてかなりの数を作って売っていた︒鈴鹿詣での時に知り合った人たちの中に軽四輪で通っていた東京の大学生たちがいたが︑その中のMが︑﹁仲間の分だけハードトップを作りたいからメス型を貸してほしい﹂と言ってきた︒学生仲間でお金がないからと懇願するから︑私もたくさん依頼を受けていたので困るのだが︑﹁一週間で返す﹂という言葉を信じて貸してあげたら︑そのまま音沙汰がなくなってしまった︒連絡も取れないまま用事で船橋サーキットに行って驚いた︒何とサーキットには明らかに私の型から作ったハードトップを取り付けたS600がたくさん走っているではないか︒ 頭にきた私がMの自宅を調べて押し掛けると︑折しも︑Mは庭でハードトップの製作に熱中している真っ最中だった︒Mはくったくのない笑顔で立ち上がり︑﹁ほんと︑林さんのハー198

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