童夢へ
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 タイムリミットが来たので前川さんのトレーラーを借りてけん引していくことになったが︑まだ配線ができていないので︑私がトレーラーで運搬中のTOJIRO|Ⅲに乗り込んで作業を続けることにした︒やぶさんの運転する車に引っ張られながらの作業はあっちに転ぶわ︑こっちにぶつかるわ︑だんだん酔って気持ちは悪くなってくるわ︑それは過酷な作業だった︒ しかし︑けん引中にエンジンの始動まで確認したところで富士スピードウェイに到着︒別のところでオープンに改造していたTOJIRO|Ⅱに乗ってきた横山と合流した︒詳しくは忘れてしまったが︑たぶん︑このグランプリではオープンしか出場できないという規則だったから屋根を取り払ったのだと思う︒ TOJIRO|Ⅲは少しも軽くなかったけれど︑一応の低重心とスーパーチ■ージ■ーの威力はすさまじく︑みんな︑期待に胸を膨らませていた︒ パドックでの試走では驚異的な加速力を示し︑やぶさんも﹁こりゃ︑いけるで!﹂と興奮気味だ︒このスーパーチ■ージ■ーを駆動しているベルトのテンションがかなり高く心配なので︑念のために新品に交換し勇んでスタートしたものの︑やぶさんは数周でコースから外れTOJIRO|Ⅲを止めてしまった︒195飛び出したエンジン

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