童夢へ
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とはほとんどなかった︒ また︑この頃はなぜか雪が好きだった︒朝早く︑やぶさんから電話があり﹁六甲は雪やで﹂と聞くといてもたってもいられずに走りに行った︒京都の鞍馬街道なんかもお気に入りだった︒下から加速をつけて登れるだけ登るという競走はとても難しいけれど得意のコースだった︒ 市内から琵琶湖に抜ける山中越えという峠道の下りは︑ガソリンがもったいないのでエンジンを止めてタイムを競っていたが︑これはいったん減速したら勝てない度胸試しのような勝負でとても怖かった︒ まあ︑このような危険極まりない行為は断じて許されるべきではないし︑明らかな社会的ルール︑マナー違反だと思うし︑全く言い訳の余地もないが︑当時の私には︑反省するだけの自制心すら備わっていなかった︒しなくてはいけない勉強をしなかったり︑危険な暴走に明け暮れたり︑つくづく出来損ない路線をひた走っていた青春だった︒185駆け巡る日々

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