童夢へ
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 しかしその分︑速く突っ込まなくてはならないし最後の方はハンドルを切りながらのブレーキングとなるので︑ブレーキングドリフトというよりはスリップ状態に陥りやすくコントロールが難しい︒ 既にベレットGTは後方視界から消えていたが︑かのチーム員たちが崖の上から見学している高速コーナーの突っ込みで︑私のスカイラインGTは大きくスリップを始めた︒ここからはパワーオンして強引に姿勢を立て直さなくてはならない︒心配なのはフルチューンのエンジンと3連のウェバーキ■ブが素直に吹け上がってくれるかだ︒ この気難しい組み合わせは︑時々︑アクセルを踏み込んだ途端にキ■ブの吸い込み音だけが聞こえてかぶり気味になる時があるので慎重にスロットルを開けていく︒ 成功だ︒きれいに体勢を収拾して次のコーナーに向かうスカイラインGTにチーム員たちは惜しみない拍手を送っていた︵と思う︶︒ これでまた京都に新たなる伝説が生まれたが︑この頃の走り屋は今の暴走族系とは違って速さだけが絶対的な価値基準だったから明確な上下関係が生じるだけでトラブルになるようなこ184

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