﹁駆け巡る日々﹂ 私はまだ︑浮谷とK氏を失った脱力感から抜け出せずにいたし︑Nの教育のよろしきもあって︑瞬く間にナンパなお兄さんに変身していたから︑しばらくの間はふらふらと遊んで過ごしていた︒ 少し前までは︑車を1台所有することも夢のようだった私の家の前には︑半分は在庫品とはいえ︑たくさんのスポーツカーが並んでいるし︑レーシングカーさえ作らなければ︑日々の生活は同年代の小遣い生活の学生たちよりもうんと裕福だ︒それに︑なにしろ基本プータローだから時間は限りなくある︒ 先■■斗■■町■■のじ■うたんバーで朝まで遊んで木屋町の銭湯の朝風呂なんかが定番コースだったが︑まだまだこの頃の遊びの中心は車で︑ほとんどの暇な時間は山道を走り回っていた︒ 当時は︑まだ暴走族というようなものは存在せず︑一匹オオカミに近い峠の走り屋たちが覇権を競っていた時代だ︒181駆け巡る日々
元のページ ../index.html#189