童夢へ
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 当時の私が何を根拠にこんなにも非現実的な考え方をしていたのかは定かではないが︑まあ︑姉の買っていた﹁SEVENTEEN﹂という雑誌に︑とてもかわいい水着の女の子の写真が載っていたので切り抜いてピンナップしていたら︑母が︑﹁よくこんな恥ずかしいことができるものだ︒いつからそんないやらしい子になったんだ!﹂と激怒したり︑母が定期購読していた﹁主婦と生活﹂という雑誌の下着の広告を︑私が見ないようにあらかじめ切り取っていたり︑潔を守りなさいよ﹂と言われたが︑心の中で︑﹁お母さん︑それ遅すぎるよ﹂とあっけにとられたほどの︑親も親状態だったから︑家庭環境に負うところも少なくないだろう︒ しかし︑道端で見知らぬ男に声をかけられてホイホイ車に乗ってくるイカレポンチの女どもも︑Nとともに何回も会っていると︑それぞれに個性も違うし考え方も違うし良い面も見えてくるし︑何よりも︑女性だけが被害者というような従前のイメージとは程遠く︑本質的には︑彼女たち自身も男を求めているのだという現実がなんとなく理解できるようになっていた︒ Nがよく︑﹁女の子も男を求めている﹂と言うと︑私はいつも﹁それなら女の子からも男を177Nの教え26歳で結婚しようという私を自室まで呼び寄せ︑改まった態度で︑﹁結婚するまでは貴方も純

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