な状況になるようなケースも少なくなく︑O氏ややぶさんの出来事も含めて︑かなり私の理解を超えた男と女の関係の深淵さを目の当たりにすることが多くなるにつれ︑私のつたない女性観は足元から崩壊しつつあった︒ 毎日のように違う女の子との出会いがある日々だったから︑その中の女の子が私に惚れたりするような据え膳的状況も少なくなかったりして︑Nはいつも﹁やっちゃえ︑やっちゃえ﹂とけしかけるが︑私があまりに冷ややかな対応しかしないので︑よくNは﹁みのる君の解っていないのは女の子も男を求めているという事実だよ﹂とぼやいていたものだ︒ Nにとっての当時の私は︑なんとも扱いにくい偏屈青年という上に︑ガールハント︵死語︶の効率上も相乗効果どころか足手まといになるばかりだから︑ガールハントをライフワークとするNは何とか私を軟化させて良きパートナーにしようと一生懸命だった︒﹁好きにならなくっても友達として付き合えるだろう?﹂と言われると︑﹁レーシングカーを作るのに役に立たない友達は要らない﹂とか︑﹁セックスはしたくないのか?﹂と言われると︑﹁好きな人がいるのに他の女とそんなことはできない﹂とか︑もし︑今の私が当時のNだとしたら︑きっと逆上して机でもひっくり返していたであろうほど青臭い言葉を吐き続けていたものだ︒176
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