童夢へ
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 とにかく︑美しすぎるほど美しい人だったからみんな上の空で︑特にOさんなんかはレースそっちのけで彼女のエスコートに熱中していた︒ その後︑O氏が頻繁に関西に来るようになったから︑いくら鈍い私でもおおむねの状況は察知していたが︑それを見た関西の友達連中の多くから﹁彼女は止めておけとOさんにいってあげたほうがいいよ﹂というような信じられない忠告が相次ぐようになった︒ 理由は︑よく言えば天衣無縫な人︑悪く言えば男性関係に奔放というところか︒私はそのあまりの美しさと限りなく清純な感じからも全く信じられないので︑﹁あり得ない﹂と判断してOさんには伝えなかったし本気でデマかやっかみだと思い込んでいた︒ その後︑Oさんは彼女と結婚してたちまち離婚したが︑後で理由を聞くと︑忠告の内容に遠からずということで︑彼女のことを人の形をした天使だと信じこんでいた私は大きなショックを受けたものだ︒基本的にすべての女性は天使のように清らかで汚れない存在であり何があってもみんな男が悪いと考えるような私にも︑いろいろな現実とのギ■ップが理解を超えてきて︑自分の世間知らずで稚■■■拙な考え方が破綻しかけていることを自覚せざるを得ない時期に差し掛かっていた︒167天使も人かも?

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