﹁レースは続く﹂ 浮谷の死によって︑私は大変にショックを受けていたし感傷的にもなっていたが︑レースは中止されることもなく︑鮒子田も出場していたし徹ちゃんはきっちりと優勝していたし︑TOJIRO−Ⅱのこれからについてもいろいろな話が舞い込んできていた︒ 私は︑﹁何なんだお前たちは! あんなに仲良しだった友達が死んでしまったんだぞ! こんな話をしている場合じゃないだろう!!﹂と大いに憤慨し違和感を持ちながらも︑半面︑浮谷の死では微動だもしない大きな時の流れも実感していたし︑私自身︑今は気持ちも動転していて厭■■世■■感■■さえ覚え始めているものの︑奥底の冷静な部分では︑この件でレースを捨てるようなことにはならないであろうという自覚もあった︒ 浮谷の死という考えもしなかった悲劇の真っただ中にいながら︑ただただ嘆き悲しんでいるはずの私が︑仕方なくというポーズをとりながらも︑いろいろ持ち込まれる次への展開に耳を貸していること自体がとても不■■■埒に思えて︑私はそれを糊■■塗するために不必要なほどに頑■■■■な160
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