童夢へ

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無しの白い浮谷の遺品は︑誰言うとなく﹁TOJIRO−Ⅱ﹂という名前になった︒　鈴鹿のお寺での通夜の席で︑朝方までまんじりともせずに過ごしていたレース関係の多くの人たちが︑夜中の鈴鹿サーキットから聞こえてくる排気音を聞いて︑あのシフトタイミングは浮谷のS6だとか騒ぎ出した︒私には︑ホンダの耐久テスト車の音にしか聞こえなかったが雰囲気はいかにも盛り上がってきて︑列席していた女性は︑﹁怖いー﹂とその気になっているし︑中にはお経をあげている人もいる︒　私は案外と冷静に︑お化けの話なんかはこうして作られていくんだろうなとか考え156浮谷追悼パレード　撮影：村田憲治　提供：マガジンハウスパレードは感動的だったが、私は、こんな時にこんな企画をして準備に走り回っていることがそもそも不謹慎だとか考えていたので、運転しろと言われていたTOJIRO-IIにも乗らずにピットの上から眺めていた。