そういう風な家だったから︑E家にはいろんな人がお世話になっていたが︑誰が連れて行ったのか︑ここに居候していたN田は厄病神のような男だった︒ 超高級ワックスや Audemars Piguet 等の時計の日本代理権を持っているという触れ込みだったが︑多分︑はったりだったんだろう︒ ある年の夏休み中をE家でゴロゴロと過ごし︑I子ちゃん姉妹や鮒子田なんかが追い出し作戦に苦労している頃︑私は︑やっと母が車を買ってくれるというのでTOYOTA S800を入手して有頂天になっていた︒けっこう唐突な話だったが︑浮谷や鮒子田や横山が車を買ってもらっている状況を見ながら︑レーシングカー作りに反対する意思表示として経済的抑制を続けていくことに︑少し疑問と不安を抱■■き始めているような感じだった︒ やっと手に入れた正真正銘の自分の車が嬉しくて嬉しくて一週間ほど走り回っていた頃︑N田がどうしても東京まで運びたい荷物があるので車を貸してくれというからしぶしぶ承諾したが︑２〜３日の約束が何日経っても返ってこない︒ N田が居候していたＥ家に電話したら︑庭に屋根の凹んだ京都ナンバーのS800が置いてあるがN田はここのところ現れないとのこと︒びっくりして新車のMUSTANG−146
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