とになった︒この小さな旅館はやぶさんの持ち物らしく︑やぶさんのことを﹁坊ちゃん﹂と呼ぶ上品な感じのお手伝いさんが取り仕切っていた︒ 寝る前には︑枕元に冷えたお茶の入った水差しが置いてあり︑朝起きると籐の着物入れにきっちりとアイロンのかかったシ■ツとズボンなどが整然と用意されており︑その︑いかにもお坊っちゃんらしい扱いを羨ましく思ったものだ︒ やぶさんの紹介でKSCCの会長や会長のお嬢さんとも親しくなった︒このかわいいお嬢さんのY子ちゃんは︑もともとお父さんの影響かスポーツカーが大好きだったが︑私ややぶさんたちとサーキットやジムカーナなどに行くようになってからはレースが大好きになり︑お父さんに買ってもらったスポーツカーでし■っち■う鈴鹿に来るようになっていた︒ Y子ちゃんはサーキットではいつも私のそばにいてくれたし︑私が神戸方面に行く時はよく一緒に行動していたから︑周囲には︑この二人をカップルとみなしていた人もいたが︑おおむね︑レース好きなお兄ちゃんと妹のような関係で交際の実態はなかった︒まだまだ私が開花するもっと以前の話である︒139やぶさん
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