童夢へ
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り出してくるような恐怖とある種の快感のカクテルがかろうじて右足を踏みこませていた︒ 大山崎の手前あたりまで差し掛かった時にK氏が私の肩を叩き︑必死に前方を注視する私の目の前でダウンの合図をするK氏の手が見えた︒心底ほっとしてスピードダウンする私に︑K氏は﹁いい加減にしておかないと死ぬで﹂と︑私にすれば﹁誰の指示で走っていると思っているんだ!﹂と言いたくなるような言葉が出てきたが︑K氏もかなり怖かったのだと思う︒ その後K氏は方々で︑﹁林は名神をカレラ6で260km/hで走った﹂と言いふらしていたが︑ギアレシオから換算した形跡はないから数字は適当だ︒体感恐怖は300キロをゆうに超えていたが︒137不思議な不思議なK氏との日々

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