と私を運転席に押し込んだ︒奇行の目立つK氏だが肝心の場面では少し引く癖があり︑たぶん私はそういう時の自分の分身的な存在として便利だったのではないだろうか? 名神の料金所を通過する時︑徴収員が﹁前のナンバー付いてないよ﹂と注意したら︑K氏は徴収員に﹁後ろも付いてないよ﹂と言って私に﹁行け!﹂と言うものだからそのまま通過したが︑てっきり仮ナンバーが付いていると思っていた私が﹁大丈夫?﹂と聞くと︑﹁ここはし■っち■うナンバー無しで通っている﹂と訳の解らない言い訳をしていた︒ スカイラインGTでかなりの速さには慣れていたが︑カレラ6の速さは別格だった︒名神高速で100キロ出したというのが現在のゴルフで言えば100を切ったと同じくらい自慢だった時代だから︑ランプウェイを出たところで既に100キロを超えていると思われるカレラ6の加速は驚異的ですらあった︒ 京都へ向かう名神は比較的長い直線が続く︒そこをフルスロットルで駆け抜けると︑トラックの横なんかを通過する時に﹁ドン﹂と大きな衝撃と揺れを感じる︒ ギアレシオも知らないから一体どれだけのスピードなのか解らないが︑心臓がのど元までせ136
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