事もあろうかピストルを取り出し︑どこからか持ち出した実弾をこめて道路を隔てた向かい側の原っぱに向かって射撃を始めた︒往来の激しい国道171号線だから危険この上ない︒﹁何かあったら使ってもいいよ﹂と言われたが︑もちろん使ったことはない︒ この両氏とも︑この後も長く付き合いは続くが︑付き合いだしてからしばらくした頃︑K氏は突然︑前年に開催された第2回日本グランプリで生沢が2位に入賞したS54 スカイラインGTが売りに出されると聞いたから買ってこいと言いだした︒ そこで︑サーキットで知り合っていたプリンス自動車のドライバーであった横山達氏に頼みに行ったところ︑生沢のマシンは売れないが全く同仕様の新車同然のスペアマシンなら売ってあげると言われ︑これを入手した︒生沢のマシンは二本の赤のストライプが入っていたが︑このスペアマシンには同様の青色のストライプが入っていた︒K氏はこのワークス・マシンでクラブマンレースに出場したが勝てなかったので飽きたのか︑1回レースに出ただけで︑﹁乗っとけ﹂と事実上の貸し頂き状態になった︒ 私は喜んでK氏のガレージの仮ナンバーで公道に乗り出したが︑ふと見るとダッシュボー133不思議な不思議なK氏との日々
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